釣りと食の楽しみ

この文章は地区の文集に載せるために書いたものです。

趣味の中でも最も長く続けている『釣り』について語ってみます。

私は趣味が高じて『会員制のルアー&フライ限定キャッチ&リリース釣り場』を主宰したりもしていますが、基本的には『釣って食べる』ことが大好きです。
家族全員魚介類が大好きですので、特に釣りという趣味に関しては『白い眼』で見られることなく、遠征の釣り(主に海釣り)で家を空けても、釣果さえあれば温かく家に迎え入れてくれます。
もっとも、釣った獲物は自分で捌きますし、ほとんど調理までやりますので、家族は口を開けて待っていれば美味しいものが出てくるわけで、反対する理由もありません。
釣りをしない人からすれば、「わざわざ時間とガソリン代を使って釣ってくるよりも、スーパーで買った方が安いんじゃないの?」と思うかもしれませんが、釣り人にしかない特権はいくつもあります。


第1に「鮮度」
これは流通に乗ったものとは比べ物になりません。青魚などは釣るとすぐに死んでしまいますが、締め方と保冷の仕方で鮮度はかなり違ってきます。根魚系だと水から上げても数時間生きていることがありますので、帰宅して捌く時にまだ生きていたりして、生命力の強さに驚かされます。

第2に「レアな獲物」
いわゆる流通に乗りづらい魚介類です。漁で数が獲れないものとか、網を入れられないところに住んでいる獲物などです。根魚などはその代表格ですし、アオリイカなんかもその類です。

第3に「天然もの」
スーパーで売っている淡水魚などは「養殖もの」が断然多いです。
渓流魚などは水とエサで味が変わってきます。
養殖池と流水では筋肉の付き方も違い、それが味の違いとして出ます。釣り人の気分としても大きく違います。

このように、食は釣りの楽しみの大きな要素であり、まさに『釣り人の特権』です。釣り人を魅了してやまない部分です。
その他『自然と対峙する喜び』『相手との駆け引き』『スリリングなやり取り』『遠足前夜にも似たドキドキ感』などなど、魅力を挙げ始めたらキリがありません。

私の尊敬する作家の開高健さんが紹介している中国の古諺があります。
これを紹介すると奥方に怒られそうですが、釣り人にとっては「目から鱗」の言葉です。
この古諺をもって、締めと致します。最後までお読みいただきありがとうございました。

 「一時間、幸せになりたかったら酒を飲みなさい。 三日間、幸せになりたかったら結婚しなさい… 永遠に、幸せになりたかったら釣りを覚えなさい」