フライの見た目と釣り師の陥りやすいワナ

そもそもフライフィッシングに没頭している人は「凝り性」の人が多く、その中にはかなりの「変態」がいます。我々の中では、この「変態」という言葉は褒め言葉であり、「勲章」でもあります。(笑
フライを自分で巻かずにショップで購入して使う人も稀にいますが、フライを巻くのもフライフィッシングにおいての大きな楽しみです。
ちなみに、最近は必要最小限のフライしか巻かない僕も、一時は狂ったようにフライを巻き、いっぱいになったフライボックスを見るのが至上の喜びでした。
いろんなビデオも見ましたし、本も読みましたし、仲間の上手に巻いたフライを貰って研究もしました。
もともと手先は器用で、数もそうとう巻いたので、当時のフライはなかなかの出来でした。(自画自賛
オフシーズンは夜な夜なバーボンをロックでやりながら「ニマニマ」しながら何本も巻いていたものです。「変態」でした。
最近は目も衰えて小さなフライを巻くのがしんどくなってきましたし、「使うフライ」しか巻かなくなりました。

前置きが長くなりましたが、「陥りやすいワナ」について書きます。
何度も書いていますが、人間から見たフライと魚から見たフライは違います。
自己満足として綺麗なフライや凝ったフライを巻くのは大いに結構ですが、それが釣果に直結するとは限りません。
以前に見たテレビの番組で、某有名ミュージシャンがフライフィッシングをしていて、「このフライじゃないと釣れないんですよ」と言っていました。
僕はすかさず「東北の渓流でそんなわけないやろ!」と突っ込みを入れました。
また、こんな例もあります。
ある雑誌だったか、YouTube動画だったかで見た郡上のシラメ釣りの際のことですが… 「このフライじゃないと釣れないんですよ!」と、24番の脱ぎかけのシャック(抜け殻)の付いた超精巧なミッジフライを見せて言っていました。
釣果はそれほどではないようでしたが…。
しかし、その日にその少し上流で有名なフライフィッシャーS氏がなんてことのない20番のミッジで爆釣していたということです。
S氏に「何でそんなに釣れるんですか?」と聞くと、「流し方だよ、流し方」という言葉が返ってきました。
思い返してみると前述のミュージシャンも、「なってない流し方」でしたし、魚の出方が速かったですね。

少し前に「ライトパターン」について書きましたが、「人間から見たら最高のフライだけど魚から見たら?」ということがあります。
また、どんなに優秀なフライでも「魚が食べやすい流れ方」が出来ていなければ釣果は上がりません。
同じパターンのフライでも「巻いたばかりの綺麗もの」よりも「使い古したクシャクシャなもの」の方が釣れることもよくあります。
川でのフライフィッシングにおいては、湧水川などの「セレクティブ」な場合を除いて、一番大切なのは「流し方」だと考えます。
「良い流し方」のためには「良い位置取り」「正確なキャスティング」が必要となります。これらは全てリンクしています。
フライに凝り始めた人が陥りやすい「フライパターン偏重」は「麻薬」のようなモノかもしれません。
色んな釣りを経験した上で「フライフィッシング」にハマった人よりも、ブームに乗っていきなりここから入った人ほどこの傾向が強うように感じます。

有名なフライフィッシャーのM氏は「フライフィッシングは釣れないから楽しい」と言い、S氏は「一番釣れるから楽しい」と言います。
僕の腕では「一番釣れるから楽しい」とまでは言えませんが、「たくさん釣れた方が楽しい」のは確かです。
「このフライで釣れたら楽しいじゃないですか!」ということはありますが、「このフライじゃないと釣れないんですよ!」ということはほぼ無いです。
「もっと重要視するべきところがあるのでは?」と突っ込みを入れたくなる釣り人が結構多いことに驚きますね。

最低でも「つぬけ」

僕は強欲で「数」も「型」も望む釣り師です。(笑)
更には、美味しい獲物を釣りたい釣り師です。
フライフィッシャーでは少ないですが、完全なC&Rではなくいくらかは持ち帰ります。
鱒族の魚は美味しいですし、特に綺麗な渓流に住む魚は変な臭みもありません。
ただし、河川では際限なく持ち帰ると魚が居なくなってしまいます。
ですから釣れた内の三分の二は再放流するように心がけています。
また、その川の固有種は再放流し、漁協が入れた魚や交配種を持ち帰るようにしています。
三分の二程度を再放流すれば、自分がまた来た時も釣れるでしょうし、他の釣り人も楽しめるでしょう。

ここ数年僕の地元の渓流ではまともな釣りができないでいます。
その原因として、大水による河川の変化と川鵜の台頭があげられます。
護岸の崩落で車で入れなくなった渓流もありますし。
昔は魚の良い居場所になっていた淵は砂の流入で埋まり、漁協が魚を放流しても鵜の食害ですぐに絶えてしまう。
そして、ある程度の状況を維持できている川には釣り人が殺到。(T_T)
渓流でフライロッドを振る気力も湧いてきません。

僕は強欲な釣り師ですので、一回の釣行で「つぬけ」ぐらいは釣らないと気がすみません。
以前に某河川のC&R区間を一緒に作ったメンバーが「こんないいヤツが釣れたので、僕はもう今日はこの一匹で充分です!」と言っていましたが、僕には全く考えられない感覚です。強欲ですから。(笑)
都会からくる釣り師でお洒落なファッションでバンブーロッドなどを振って、キレイな魚との出会いを楽しむような優雅な姿を見かけることがあります。大人の楽しみ方で格好いいですね。
僕みたいにやたら「ガツガツ」した釣りよりも上品な楽しみ方です。

強欲な釣り師に「船釣り」は相性が良いですね。
「数」も「型」も「高級な獲物」狙えますから。
「竿頭」にもなれば自分の腕に自信が湧いてきます。
逆に、他の人に比べて貧果だったりすると悔しくて、更に泥沼へ足を踏み入れてしまいます。(笑)

同じ船に乗っても色んな魚種を狙えるのも魅力です。
特に富山湾は魚種がとても豊富で、他ではなかなか狙いづらい高級魚も比較的近くで釣れます。
僕がよく利用している船は船長がとても良い人です。
「○○釣りのメッカ」の人気船みたいに規則が厳しいこともなく、わりと自由にやらせてくれます。
自分の好みに合わせたリレー便なども柔軟にやってもらえます。

以前にも書きましたが、最近はオカッパリの釣りが億劫になりました。
お目当てのポイントに入るために血眼になるのも疲れましたし、マナーの悪い釣り人やポイントに捨てられたゴミを目にするのもストレスです。
楽しみに行ってストレスを感じるのでは本末転倒です。

さて、今年はどんな予定を組んで釣りを楽しむとしましょうか。

釣りの要点

釣りは、自然と向き合うスポーツの一つです。その中で、釣り人が重視すべきポイントがいくつかあります。

まず、自分に合った道具を使うことが大切です。釣り竿やリール、ルアーやハリスなど、道具は種類が豊富で、それぞれ特徴があります。
しかし、道具メーカーの説明を鵜呑みにするのは危険です。メーカーは「売らんかな」で宣伝していることが多く、自分に本当に合った道具を選ぶためには、自分自身が実際に使ってみることが必要です。

また、その時の状況に合わせた戦略で攻めることも重要です。
例えば、天候や潮の流れ、魚の種類などによって、釣り方や使う道具が異なります。そのため、常に状況に合わせられるような「引き出し」を増やすことが必要です。
周りの釣れている人を観察し、技を盗むことも有効な手段です。周りを見て、自分にも役立つ技を見つけ出しましょう。

釣りは、魚を釣ることが目的ではありますが、そのプロセスもまた楽しみの一つです。
自分に合った道具を選び、その時の状況に合わせた戦略で攻め、周りの釣り人から学び、魚を釣るために努力することが、釣りの醍醐味です。
これらの要点を意識しながら、釣りに臨んでみてはいかがでしょうか。

人間の目と魚の目(ライトパターン)

人間がイメージしているものと、魚から見ているものとはかなりの違いがあるように感じています。

例えば、フライフィッシングでは魚が捕食している昆虫などに似せた毛ばりを巻きます。
水生昆虫でいえば成虫(アダルト)、亜成虫(ダン)、蛹(ピューパ)、幼虫(ラーバ)それそれを模した毛ばりがあります。
成虫でも羽化したばかりの状態を模したものもあれば、産卵を終えて水面に落ちた死骸を模したものもあります。
陸生昆虫などを模したフライも多種多様です。

では、実物をより忠実に再現したものの方が釣れると思いますか?
答えはどちらかと言えばNOです。
フライブームの頃にカゲロウの幼虫の形を忠実に再現した「フィギアのようなフライ」が売られていましたが、身近で「良く釣れる!」という評判は聞いたことがありません。
実際に自分で使ったわけではないので「釣れない」をいう烙印を押すわけにはいきませんが。(笑)
水中においては「ヘアズイヤー」というフライのように、脚の部分に施した毛が「フワフワ~」となびいている方が脚を動かしている感じに近いのではないかと思っています。
実際に「ヘアズイヤー」は私の経験上確実に釣果を上げています。

エサ釣り師から「足の取れた川虫だと食いが悪い」というような話を聞いたことがありませんか?
これは前述の話しからすると眉唾ものです。
魚の胃の中に「おおよそ食べ物とは言えないもの」が入っていることが多々あります。
木の枝の屑だったり、花の蕾だったり。
脚の揃っていない川虫を食べない魚がこれらを口にするでしょうか?
「万全の状態の川虫は良く釣れる」理由はこうだと考えています。
川虫の脚が取れないように細心の注意を払っているぐらいの釣り師は、全てにおいて目が行き届いている「腕の良い釣り師」だと思われます。
万全の状態の川虫だから釣れるというより、それだけ気を配っている釣り師だからこそ釣れているのだということです。
そういう釣り師は手返しも良いでしょうし、状況を読む力も優れていると容易に想像がつきます。
要は、「川虫の状態」が釣果を影響しているというより、「釣り師の腕」が釣果に繋がっているのです。

「ライトパターン」というフライフィッシングの用語があります。
浮いているフライが水面を歪ませることにより生じる光の屈折です。
これの面積が大きいほど水中の魚から見て目立ちます。
立ち上がっているフライよりもペタッと張り付いているフライの方がライトパターンが大きくなります。
立ち上がっているフライの代表が「スタンダードパターン」であり、張り付いているフライの代表が「パラシュートパターン」です。

使い続けてクシャクシャになったエルクヘアカディスなども使う前よりライトパターンが大きくなります。
発泡素材で浮力を得ているフライは浮力材が「氷山」のように浮くため、ライトパターンは比較的小さいです。

ただし、ライトパーンが大きいほど釣れるという単純な話ではありません。
湧水の川で「○○カゲロウのダン(亜成虫)だけを捕食している」というような局面ではパラシュートパターンを投げてもほぼ釣れません。
対して、「流れてくるエサなら何でも口にしないと生きていけない」環境下では、ライトパターンが大きいほど魚が出る確率は高くなります。
しかし、大きなパラシュートでテールも長かったりするとフッキング率はかなり低くなります。
「状況に合わせたフライセレクト」が大切で、「釣果を上げるキモ」になるということです。

今回はフライの形状や見え方などに話を限定しました。
次回はフライの見た目と釣り師の陥りやすいワナなどについてお話します。

釣りの腕と道具

釣り名人は良い道具を使っていますか?
答えはYesでもNoでもあります。
メーカー所属のテスターやインストラクターであれば良い道具を使っています。
その道具を使っている番組や動画による宣伝効果でそれらが売れるからです。
もちろん良い道具が高額なのにはそれなりの理由があります。
ロッドであればブランクもガイドもより良いものが使われているので、キャストの精度やフッキング後の追従性が高いですし、ガイドへのラインのからみなどのトラブルも少ないです。
リールであれば値段が高くなるほど使っているベアリングの数が多いですので、回転が滑らかですし、耐久性も抜群です。
また、上級機種ほどメカとしての仕上げも極上ですので、使う者としての満足度も高いです。
ローレックスの腕度時計を装着した時の満足感に近いかもしれません。
シマノのスピニングリールの最高峰「ステラ」などはその代表格です。
「いつかはクラウン」という感じです。(ちと古いですが)
では、地方のいわゆる「釣り名人」は同じように最高の道具を使っているのでしょうか?
その答えは「No」の場合が多いような気がします。
彼らは高級品というよりも「使い慣れた自分に合った道具」を使っている場合が多いです。
市販品を「自分流」に手直し(チューンナップ)して使っていたり、できる部分は自分で手作りしたりしています。
要は自分にベストマッチし、その場に状況に合わせられるモノを駆使して釣果を上げているのです。
ただし、釣果を上げる要素は道具だけではありません。
熱意、創意工夫、経験、洞察力などが結集することで道具を最大限に活かすことができるのだと思います。
道具はロッドやリールだけではなく、釣り糸や釣り針、オモリ、ルアー、フライ、そしてエサも含まれます。
道具ありきではなく、状況に合わせるための道具、人間の手の延長として道具は活きるのであり、「無用の長物」になってしまっているのでは勿体ないですね。
釣りの腕を上げて、それに見合う道具を使い、更に快適に楽しく技術を上げて行く。
そんな良い循環の釣りができたら最高ですね!

船釣りの魅力

最近は遊漁船の釣りにハマっています。
その理由はいくつかありますが、それについて語っていきたいと思います。

理由その壱「ポイント争奪戦が無い」
渓流釣りもそうですが、ショアからの釣り(特にエギング)は有望なポイントに入れるかどうかがとても重要です。
それにより釣果はもちろんですが、気持ちが大きく変わってきます。
お目当てのポイントに入れれば「やる気満々」で挑めますが、「お目当てのポイントは先行者有りでその他のポイントも人だらけ」だったりするとテンションはダダ下がりです。
遊漁船の場合、基本的にターゲットの居るポイントで釣るわけですし、釣り座による釣果の差はあるにせよ気持ちに余裕があります。
また、船中で釣れている人の情報をもとにより良い釣果を上げることもできます。
以前朝一仕事前の渓流の釣りで痛恨の思いをしたことがあります。
自動販売機で缶コーヒーを買っているときに通り過ぎた車の釣り師にお目当てのポイントに先に入られ、素晴らしい獲物をキャッチされてしまいました。その釣り場はまとまった雨の後などにダム湖から大物がさしてくるので、そのチャンスを何としても捕らえねばならないのですが…。
このようなポイント争奪戦は精神衛生上も良くなく、できるだけ避けたいという思いが年々強くなってきました。

理由その弐「イコールコンディションでの競い合い」
釣り座による多少の釣果の差はあるでしょうが、大きな群れに入ればみんなにチャンスがあります。
ましてや「どてら流し」の釣りであればほぼ「イコールコンディション」です。
イコールコンディションの中でいかに釣果を上げるかが船釣りの醍醐味でありエキサイティングなところです。
「いかに釣れる確率をあげるか」「いかに手返し良くするか」などを考えながら日々研究するのはとても楽しいものです。
また、それらに基づき釣行イメージをしながらする前日準備はドキドキするご機嫌な時間です。
遠足前夜になかなか寝付けない子どものようです。
そして、日々の研究や綿密な準備が功を奏して「竿頭」をとった時などは最高に誇らしく感じます。

遊漁船の釣りは相応の船代がかかりますので、釣果が悪かった時のショックも大きいですが、ショアからでは得られない釣果が可能です。
思わぬ上物ゲストが釣れることもよくあります。
僕のような魚料理好きにはやはりこれは何ものにも代えがたい魅力です。

フライマテリアルのこだわり

僕はフライのマテリアルに対するこだわりが殆どありません。
「殆ど」と言ったのは、劣悪で使いづらいマテリアルは決して使わないという意味を含んでいます。
ハックル素材などは良い素材であればサクッとキレイに巻けますし、獣毛も良いものは折れづらく無駄がありません。
「こだわりがない」というのは、代用できるものなら既成概念にとらわれずに何でも使うということです。

一時期「CDCダン」というフライが大ブレークしました。
メイフライ(カゲロウ)ダン(亜成虫)の羽の部分にCDC(※)を使用しているパターンです。
※カモのお尻の方にある油分を良く含んだ浮力の高い羽根です。
この部分に僕はエアロドライウィングという科学素材を使っていました。
巻きやすいし、釣りの最中も扱いやすいし、釣れ具合も遜色無いように感じていました。
CDCは品質に当たりはずれがあり、良いものはけっこう高価だったということもあります。

釣り仲間のTH氏のフライボックスは素晴らしく綺麗に巻かれたCDCダンでいっぱいでした。
「エアロドライウィングでも同じぐらい釣れない?」という僕の言葉に対して、「自分が許せるかどうかです」という言葉が返ってきました。
フライフィッシング自体が言わばこだわりの釣りですから、フライマテリアルへのこだわりは当然生まれてくるでしょう。
彼は佐藤成史さんと親しくしているくらいですから、「良い獲物を狙うのならそれに相応しいフライで」という心意気があるのでしょう。
僕はフライのタイイングについては「パフォーマンス至上主義」なので、杉坂研治氏が使うような「珍素材」も躊躇なく使います。
浮きやすく、水キレが良く、空気抵抗が少なく、自分からも魚からよく見えるフライが僕にとっての「ベストなフライ」です。

ただし、「良く浮く」とはいっても「浮き方」によって釣れ具合が違うと考えています。
浮き方には「水面に立ったような浮き方」「水面にペタッと張り付いたような浮き方」「氷山のような浮き方」などがあります。
「水面に立ったような浮き方」は主にスタンダードフライで、ハックルもテールも厚めのものの浮き方です。
「水面にペタッと張り付いたような浮き方」はエルクヘアカディス、パラシュート、アントなどが代表的なパターンです。
発泡素材などを浮力材に使うと「氷山のような浮き方」をします。
渓流においては「水面にペタッと張り付いたような浮き方」が一番効果的だと思います。
それは「ライトパターン」が大きく影響しているからです。
「ライトパターン」についてまたの機会で語ります。
取扱の良さとしては珍素材を多用した研ちゃん式フライは「浮きやすく、水キレが良く、空気抵抗が少なく」の面で最高なのですが、「ライトパターン」という面においては少し劣ります。

フッキングの良し悪しも形状によって違いが出てきます。
スタンダードフライなどは魚にとって吸い込みづらい形状です。
スプリングクリークなどの釣り場で大物の魚を釣るのには良いかもしれませんが、渓流でロングリーダーティペットで釣るなら論外です。
フローティングニンフやアントなどの「半沈みパターン」は最も魚にとって捕食しやすく、研ちゃん式もそれに準ずるように思います。
エルクヘアカディスやパラシュートパターンは標準的ですが、テールをあまり長くすると弾かれます。

フライフィッシングは「尖っている釣り」代表格と言われます。
それゆえのこだわりがそれぞれの釣り人にに有りますが、こだわりの中にも寛容性も必要だと思います。
自分のスタイルに固執するあまり「排他的」な考えになるのは困ったものです。
渓流では餌師もテンカラ師もルアーマンも、そしてフライマンも同じフィールドで釣りをします。
共通するルールはきちんと守って、それぞれのスタイルで楽しんでもらいたいと強く願っています。
お互いを尊重しあえば釣り場での「不毛な衝突」も無くなります。

リーダーティペットの長さと釣果の相関関係

渓流でのフライフィッシングの話です。
僕はいわゆる「ロングリーダーティペット派」です。
里見栄正さんを師として仰いでいますので当たり前ですが。
具体的には17~20ftで状況に合わせて調整しています。
小さい流れや大きなフライを使う時は短めですし、大きな流れや魚がスレている時などは長くします。
ロッドの調子や釣り師のスタイルにもよるので一概にどちらが良い悪いとは言えませんが、長い方が釣れるとは思っています。

では、ロングーリーダーティペットの長所は何でしょう?
『ドラグフリーで流せる距離が長い』これに尽きます。
特に向こう岸の巻き返しなどでは圧倒的に有利です。
通常の長さのリーダーティペットでドラグフリーの時間を長くとるためには「カーブキャスト+メンディング」という方法が一般的ですが、向こう岸の巻き返しなどではなかなか難しいものがあります。
これがロングリーダーティペットで里見式「曲げる・固める」を使えば巻き返しでのドラグフリーの時間が圧倒的に稼げます。
ドラグフリーで長く流せるということは魚が出る確率も上がります。

では、ロングリーダーティペットの短所は何でしょう?
「ライントラブルを起こしやすい」「大きなフライが投げずらい」などがあります。
上が開けた場所なら良いですが、樹に覆われている場所や周りに障害物が多い場所などでは苦労します。
また、風が強い時などもトラブルが増えます。

キャスティングの技術は練習や経験で習得するしかないですが、トラブルを軽減させる方法はあります。
フライのファンデーションを最小限にすることです。
フライ自体の空気抵抗が低くなるだけで投射性が向上し、ピンポイントを撃てるようになりますしトラブルも激減します。
自分の釣りスタイルに合わせたフライを自分で巻くことはマストです。

前述の釣り仲間のM氏は自分でフライを巻きません。
店で売っているフライはファンデーションが多く、ロングリーダーティペットには不向きです。
それを投げやすいリーダーティペットの長さにしているので、ドラグフリーで流せる距離は短く、対岸の巻き返しや「穴ぼこ」などはほとんど狙えません。
そんなこともあり、毎回圧倒的な釣果の差が出てしまっています。
「楽しみ方は人それぞれ」なので本人が満足しているのであればそれで良いとは思いますが、歯がゆさは感じますね。

忍野のような特殊な釣り場のような「セレクディブ」な状態なら別ですが、渓流においてのフライ選択はとても大雑把で良いと思います。
「クシャクシャ」になっているフライでも釣れますし、「白っぽい」「黒っぽい」ぐらいの基準とあとはサイズですかね。
僕の渓流でのメインフライである「エルクヘアカディス」は、エルクヘアの量が市販のそれの三分の一ぐらいです。
一般的なエルクヘアカディスはボディハックルをボディ全体にらせん状に巻きますが、僕のはヘッド近くにパラッと巻くだけです。
投射性は最高ですし、フッキングも良いですし、何より良く浮きます。
ファンデーションが多い方が浮きやすいと思っている人がいますが、フライの主自体が軽い方が良く浮きます。
僕はオイル系のフロータントを使っていますが、質量が少ない方がフロータントの効き目が大きいと感じています。

要は「ロングリーダーティペットはライントラブルが多くていやだ!」「フライがポイントに入らない」などと敬遠するのではなく、それを解消する手立てを講じることが大切だということです。
トラブルによる集中力の低下などが無ければ、ロングリーダーティペットは「魚を掛ける確率が確実に上がる」と断言できます。

準備の楽しさと大切さ

僕は釣行前の準備が大好きです。
釣行を想像しワクワクしながら準備をする時間は最高です!
極端に言えば釣行そのものよりも楽しいことさえあります。

準備で出来る限りのことをしておけば釣りそのものに集中できます。
例えば、渓流で準備をしているときにライズでもされたらリーダーとティペットの結束もままなりません。
そんな訳で細かい準備ほど釣行前の平静な心理状況の時にするようにしています。
フライフィッシングの場合だと、フライラインのドレッシング、ラインとリーダーの結束、リーダーとティペットの結束などです。
小さいフライを多用しそうなときは、ティペットがアイをちゃんと通るかなども確認しておきます。
とにかく、ポイント到着後いかにスムースに短時間でファーストキャストできるかに注力します。
「僕はの~んびりできて、魚の顔が見られれば良いや~」というひとは別ですが、できるだけ釣果を上げたい、釣りの腕を上げたいという人には必要な要素だと思います。

僕の釣り仲間に、その都度現場でフライラインドレッシングをしているM氏という人がいます。
家でやると床に液が付着して滑るようになるのが嫌だということですが、床に何かを敷いてやれば良いことで、ちょっとの工夫なのにと思います。
「今日は一番初めに良い所を撃たせてあげるね!」と行く道中で言っていても、結局M氏は準備に時間がかかり、「先に始めてて!」ということになります。
フライフィッシングでのM氏の釣果はムムムです。
そこまでの釣果の差が出る理由はもちろん他にもありますので、それは改めて解説します。

ヤマシタ2.0号-2.5号-3.5号エギ

ショアエギングでの場合だと準備は以下の通りです。
①PEラインとリーダーの結束(FGノット)と「PEにシュッ!」の塗布
②入るポイントに合わせたエギ選択の検討とセッティング
③潮に合わせたポイント移動とオプションの検討
④持ち物の確認
特に「どこに入ったら何から投げてどうエギをローテーションするか」などは入念なイメージトレーニングをします。
変態だと言われます。

船釣りの場合もショアエギングの準備に準じます。
夢の中でもイメージトレーニングをしていることがあります。(笑)

「入念な準備」は、僕が比較的経験の浅い釣りでもコンスタントに釣果を上げている大きな理由の一つだと思います。

ロッドの持ち方と釣果の相関関係

今回はティップランの竿の扱いについて語ります。
ティップランエギングにおいての「ステイ」が最も重要であることは前述の通りですが、「安定したステイ」を生み出すために上下方向を受け持つのがロッドワークです。(横方向はエギにお任せです)
通常の波高であれば、ステイの際のロッドの持ち方しだいで上下方向のエギの揺れを制御できます。

その持ち方が「イカ先生」こと富所潤氏が推奨している「ワイングラス持ち」です。
掌の上に置くだけでロッドもリールのハンドルも握りません。
この持ち方は船の揺れに合わせてロッドがフリーで上下に動いてくれますし、人差し指がとても敏感でアタリが抜群に取りやすいです。
波が高い時はこれプラス膝の伸縮で揺れを吸収します。

逆に多くの人がやっているのがこの写真のような持ち方です。
ロッドを普通に握り、リールのハンドルも掴んでいます。
これだとロッドが身体の動きに同化するため、ステイさせているつもりでも波の上下に合わせてエギも上下に動いてしまいます。
リールのハンドルも握っているためアタリも伝わりづらくなります。
イカが抱いた時、合わせと同時に巻き始めようとしているのかもしれませんが、合わせてから1~2秒でハンドルに手を持っていけば充分です。
ハンドルより先にドラグに手がいく状況もあります。

波の揺れに任せてロッドティップが常に上下していたり、ましてや船べりロッドを預けているのでは到底「安定したステイ」は望めず、イカを抱かせるチャンスは殆どありません。
アオリイカをティップランで釣るのであれば何はともあれ「シャクリよりもステイ」と肝に銘じるべきです。